ファミリーコンサート、イベント企画、音楽出版のスペシャリスト―ともしび音楽企画 特定非営利活動法人 日本青少年音楽芸能協会加盟
公演の報告・受賞

児童健全育成推進財団 児童劇巡回事業
ともしびパネルシアターコンサート
千葉県・沖縄県・長崎県・佐賀県公演報告

2006.8.1~31

 

【8月】 1~4千葉/7~10沖縄/23~26長崎/28~31佐賀

                        報告  丸山あゆみ

行貝ひろみとパネルシアターとの出会いは23年前。
そこから生まれたともしび作品の中で、私は「なめちゃんのあったかわいわいライブ」という行貝 一人が演じるパネルシアターの伴奏経験はありました。しかし今年初めて、「パネルシアターコ ンサート」の伴奏者として、行貝、金指とともに巡回公演を経験し、これまで自覚できなかった作 品の意味や、行貝の情熱と確信にも触れる事が出来ました。

1.「パネルシアター」とは
パネルシアターとは、ネルという材質の布製のパネル版に、ピーペーパー(不織布)に画いた登場人物や景色などをはりつけ、パネルの横に立った黒い衣装を着た人間(いわゆる黒子)が、その絵を動かしながら、お話をすすめていくものです。紙芝居とも人形劇とも違う、文字通り「パネルを使った劇場」を意味します。

2.行貝ひろみの「パネルシアター」
歌やセリフを豊かに表現しながら、絵をより効果的に使う為に、どの場面でどんな絵を、どのように出して動かすのか、「計算され尽くした動き」、初めて見た時はそう感じました。しかしそれは長い間に何度もつくりかえられ、今も、これからも改良工夫が続けられるものなのだと知りました。
そうした工夫の中で、行貝は、絵を動かすあらゆる「しかけ」を考えました。絵の表情を変化させたり、可動式にしてよりリアルな表現を可能にしたり、絵の出し方にも色々なパターンがあります。その1つに「糸を使って絵を動かす」、というものがあります。ところが白いパネルでは白い糸を用いても黒い陰ができてしまい、「しかけ」がわかってしまいます。そこで、パネルの色そのものを「白から黒に」、と発想したのです。この発想により、絵をより際だたせる事にもなりました。そして、子どもたちの反応がわかるよう会場の照明も明るく、衣装も明るく、演じ手の表情も豊かに、これが、行貝ひろみの「パネルシアター」の大きな特徴です。
行貝とともに演じる金指修平は、作品に関わって4年目。パネルシアターの特徴や意味に基づき、行貝のそれをさらに豊かなものにしています。

3.巡回公演
私の役割は、キーボードを使って、お話に効果音を、歌に音楽をつける事です。前任の田口さんの築いてきた土台を引き継ぎ、そこに私自身のイメージをふくらませて、変更を加えていきました。「ここにはどんな音が必要か。或いは必要でないか」テレビのドラマやCMは勿論、ニュースにも効果音や音楽は使われています。巡回公演前半は、そんな事ばかり考え、実際にやってみては、音響の八子さんや制作の高柴さんにダメ出し(改善点の指摘)してもらい、客観的なアドバイスを求めました。
巡回公演では、公演終了後、先生や子どもたちを対象にしたワークショップが毎回行われます。現場でパネルシアターを実践している先生や、保育短大の学生さんの熱心な質問に対し、行貝、金指の持つ哲学や技術について話し、また実際に先生方にも実践中のパネルシアターを披露してもらいアドバイスするという、実に興味深い交流の場でした。「パネルシアターの実践的な普及」、これも公演と並び、重要な位置づけになっているのだと知りました。私たちはプロとして公演しなければいけないわけですが、同時に「ひょっとしたら私たちにも出来るかも」そういった可能性や親近感を、見る側に感じてもらえるような公演を心がけなければいけないのだとわかりました。
「パネルシアターコンサート」のメインは、「おおどろぼうサッサ」というお話です。
巡回公演も後半にさしかかると、それまで「音」の事ばかり考えていた私も、作品の解釈というところに立ち返り、考え始めました。毎日行われるダメ出しの中で、ある日、クライマックスの演技と絵の出し方について話し合われました。そこで、この作品で最も伝えたいことは何か、が再確認されたのです。そしてそれが、「親と子の愛情」でした。クライマックスを音の力でどう盛り上げるか、ずっと考えていましたが、親を演じる金指、子を演じる行貝の胸にせまる演技に、「音は必要ない」、それが巡回公演で出した私の結論でした。

4.ともしびの「パネルシアター」
歌声喫茶を母体にした「ともしび」の公演作品に貫かれているもの、それは「参加型」であることです。演者と観客と、そこから生まれる何か…。
「パネルシアターコンサート」の中には、「○△□」というコーナーがあります。実際に子どもたちが、パネルにむかって、大小の丸、四角、そして三角などの形を組み合わせて、動物や植物を表現したりします。なかには、芸術的な幾何学の世界をつくりあげたり、壮大な宇宙を思わせる作品を生み出す子どもたちもいます。そんな「○△□」のコーナーには、1つ約束事があります。それは「『まる・さんかく・しかく~』の歌を2回、みんなで歌っている間に、絵を完成させること」です。
ところが、制限時間を過ぎてしまう子どもがいます。そんな時はどうするか。歌のテンポをゆっくりにして、子どもが納得するまで歌いながらみんなで「待つ」のです。この光景を見ていたある先生が「私たちは日常ついつい早く早くと子どもたちをせかしてしまい、「待つ」という心を見失ってしまいます。その事に気づかされました」と。忙しい先生方の実感のこもった言葉でした。
また、一体何を表現したのか子ども自身がわからなくなってしまった作品や、つくった子どもの意図とは違って見えてしまう作品もあります。そんな時、つくり手の気持ちに寄り添い、金指、行貝が想像力をふくらませます。
一方、前に出てパネルに絵を描ける子どもは、時間的制約により毎回3~4人に限られてしまいます。金指は、絵を描く事のできない多くの子どもたちにむかって「みんなで○△□を歌って、お友達を応援しよう」と呼びかけます。そして最後に「みんなの歌、とっても良かった。良く応援してくれたね。ありがとう」とつけ加えるのです。 

「親子の愛」「友情」そして「世界が平和であること」。子どもたちや、先生、保護者、そして私たち演者の間に、そんな共感が生まれることを目指して、そしてそれが、行貝ひろみの築いてきた、ともしびの「パネルシアターコンサート」なのだと感じています。 
公演当日をむかえるにあたり、準備して下さった、各地の先生や子どもたち、そして地域の皆さんの取り組みの輪が、公演成功の大きな支えとなりました。本当にありがとうございました。

 

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