団内ブログ

2021年2月 理念プロジェクトからの報告

理念プロジェクトの齊藤隆です。

昨年12月20日のともしびテキスト学習会で「理念」の途中発表をおこない、様々な質問や意見をいただきました。このような機会を持ったことで、「理念」に対する関心がさらに高まっていることが感じられて、プロジェクトメンバー一同とても嬉しく思っています。

テキスト学習会を含めてその後に寄せられた意見や提案に対し、プロジェクト会議を1〜2月に3回おこなって検討しました。その内容を報告したいと思います。

会議ではそれぞれのメンバーからとてもいい意見が出たので、それをピックアップして議事録風にまとめたものと、意見を踏まえての対応、という内容です。
そしてそれらを踏まえて、理念本文を修正したものを、最後に載せました。

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【意見1】
・劇団の活動がどう反映されているか?
・子どもたちに良いものを届けることが、子どもたちの「人づくり」に関わっている。劇団演劇においての「人づくり」について、どう考えているのか。

<プロジェクトで話されたこと>
*演劇を通して、心が豊かになることで、他者を思いやり、互いを大事にする人間になっていきます。この世界観を広めるためにともしびの運動はあるのです。
人づくりの面で言えば子ども達の成長に責任を持つことが、ひいては社会を豊かにすることに繋がっているという考えに基づいていると思います。

*「生きあう」という概念や価値観をともしびが社会へ向けて広げていくことが「人づくり」につながっていくと私は考えています。
自己責任論が蔓延する中で「生きあう」勇気を持てるかどうか、これは子どもの成長や社会の発展にも充分つながることだと私は考えています。

*「トラの恩がえし」は演者たち自身が作品の世界観を作るために意見を出し合い、演者どうし互いに演出しあう「デヴァイジング」という方法で作られました。推測だが、「ともに生き合う」というテーマを掲げた時点でこの方法を採る、と大野さんは考えたのではないかと。
作品を作る上で意見の違いはあっても、他の人のいうことに耳を傾け、理解し、受け入れ、そうすることで、ここまで練り上げられた作品になったのでは。
「作品づくり」を通して「人づくり」を通過してきた劇団は知らず知らずのうちに「ともに生き合う」を体現してしてきたのではないでしょうか。
体現者が演じる作品を見てもらえれば、全てではないにしろ、「人づくり」のエッセンスの一欠片は確実に子どもたちに届いているはず、と思います。

*ともしびの演劇の中にも「ともに生きあう」は貫かれています。『トラの恩がえし』もまさに猟師とトラとの心の交流として「ともに生きあう」ことが表現されていて、まさにそれがテーマとなっています。
ともしびの演劇に触れた子どもたちが、敵対や排除ではなく、お互いを認め合い「ともに生きあう」ことを感性として感じ取ってくれたら、ともしびからの発信という意味での「人づくり」になるのではないでしょうか。

*オペレッタ劇団ともしびは、まさに「人づくり」のために上演しています。
ともしびパンフレットにはこう書かれています。『生の舞台は生の人間の出会いと交流です。作品の内容とともに、「ともに生き合う」人間のあり方を伝えたいと願っています』

*「人づくりとは?」唯一の結論を出すのではなく、団員の皆さんと考え続けていきたいです。
また、自分に引き寄せて「人づくりとは何なのか」「人にどんな影響を及ぼす自分でありたいか」ひとりひとりが主体的に考えていく「余地」も残したいです。それは、その人その時の課題感や状況によって変化していくものと考えます。
理念で語るのはともしびの大きな方向性であり、登る山です。その山をどう登るか、私達は常に理念から問われているのではないでしょうか。

<対応>
理念の文章は、「歌声喫茶」とも「劇団ともしび」とも規定してはいなく、広くともしびの活動について書いています。「ともに生きあえるような居場所をつくり〜」の居場所というと「店」ととることもできますが、つくり広めるのは居場所だけではないので、「ともに生きあえるような居場所をつくり、心のつながりを広めていきます。」と書き改めました。
また、オペレッタは音楽劇なので、大きく括って「音楽」で包括されると考えてきましたが、もっと積極的に「音楽」と並べて「演劇」もしっかり立てることにし、【ともしびの文化創造のあり方】を変更しました。
チャート中の「音楽づくり」も「音楽・演劇づくり」に変わります。

【意見2】
・「ともに生きあう」の定義で、「関係性」の言葉の意味がいまいちわからない。
関係性→交流、学び合い?

<プロジェクトで話されたこと>
『関係性』とは?
言葉的に明確な使い分けが定義されているわけではありませんが、具体的で明確な関係がある場合には「関係」を使い、具体的ではなく、様々な関係の傾向を表現する場合を「関係性」とするのが一般的のようです。
最近では「関係性」という言い方は、一般的に様々な分野で使われています。

<対応>
「関係性」をそのまま使います。

【意見3】
読んで元気になれるものに。

<プロジェクトで話されたこと>
「読んで元気になるもの」いいですよね。
今回の理念は、ともしび外部の方に向けた文章としても作成しています。ともしびが目指すことを外部の方にも知っていただくことで、副次的にその方も元気になれるような理念になったらいいなと思います。
団員にとっては、理念に共感して「共にそれを目指したい」と思えるものを作ることが元気の源になる、と考えています。
また「団員が読んで元気になるもの」を主の目的とする時は、外向けとして発信する理念とはまた違った文章に役割を果たしてもらうのが良いと考えました。

<対応>
声に出して、耳で聞いても心に響く文章という観点も大切にしながら 【ともしびの文化創造のあり方】を何箇所か変更しました。
みなさん、読んで元気になりますでしょうか?

【意見4】
ともしびにおける「平和」とは?具体的なイメージは?

<プロジェクトで話されたこと>
*「平和」のイメージは例えば『すべての人々が幸福感をもって生きられる社会』
〜人によりどういう状態が幸福といえるかは違いがある。それを一様に定義するのは難しい。その違いを認め合いつつ、すべての人々が幸福を感じて生きられる社会。
ある人の幸せのために他の人が不幸になる社会ではなく、すべての人々が幸福感を感じられる社会。

*平和について、私はシンプルに戦争、紛争下にないことだけを思っています。命が脅かされる状態にないこと。
生まれてくる時代、場所は選べないから、「戦争を知らない子供たち」でずっといたいし、日本に限らず未来の子供たちにもそうあってほしい。

*原水禁など世界大会に代表を送っているのが、ヒントかと。
平和とは、核兵器が無く外国の基地もない、憲法の活かされる社会。

*特定の政治的なイデオロギーを言っているのではない。
「平和は、戦争や暴力で社会が乱れていない状態。」(Wikipediaより)

*今回の議題からはそれますが、個人的には「平和」より「調和」という言葉が好きです。争いがない、だけでなく、お互いにいい関係性である。文化はその関係性を構築できるもの。

*ここでいう「平和」はやはり「戦争や争いのない世界」。
ともしびはそれを願って運動を続けています。
もう一つは「幸福感」もあると思います。
もっと「のほほん」としていますが「朝起きて、ご飯食べて、夜寝る」という生活がずっと続いていく感じ。

<対応>
あえて「平和」の意味について、理念の文章には盛り込むことはしませんが、今回、学習会で出たこの質問を受けて、ともしびの目指す「平和」について、認識を深める話し合いができたことが良かったと思います。
平和推進委員会でも改めて「平和」とは何かという議論が進んでいるそうです。
これからも、様々なセクションで事あるごとに話し合っていきたい大きなテーマです。

【提案】
また、テキスト学習会後に新宿ブロックの土岐さんから、次のような提案を頂きました。
とてもよく考えてくれた上でのもので、プロジェクトメンバーでもこの提案について時間をかけて話し合いました。その土岐さんの提案と、話し合った内容を報告します。

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*ともしびの理念について  土岐 志のぶ
テキスト学習会12/20日では、たくさん学ばせてもらいました。それを受けて、理念についての意見を書きました。

『ともしびの理念』検討用
「音楽文化集団ともしび」は1969年の結成以来、歌や演奏を通して、音楽の感動を追求し続けてきました。
音楽の感動は、一緒に体験する人たちの心の中にどういう変化を呼び起こしているかに関心を向けることによって生まれます。今の社会では、「自己責任」や「ヘイト」など、他者への共感が軽んじられる現象があります。私たちが日常で思いやりを欠いた言い方や行動をしてしまっていたなら、その音楽が聴く人の共感を得ることはできないでしょう。
私たち自身が、勇気や優しさに満ちあふれていることが大切です。

一人一人が集団の中で、誠実さや謙虚さ、また人の心に寄り添える優しさ、そして、しっかりした意志を持つ人となることを目指す 「人づくり」
それぞれの個性を尊重しながら、目標に向かって時には楽しく、時には厳しく取り組み、良いことも悪いことも卒直に言い合えて、喜びや辛いことを感じ合える 「仲間づくり」
楽譜から学び、曲を深く理解し、一体感や心のつながりをはぐくみ合うことを大切にした集団で創り上げる 「音楽づくり」
「ともしび」は、この三つを互いに関連し合う一つの運動と捉え、音楽や演劇によって生まれる感動を共有することを通して、さまざまな違いを持った「私たち」が心を寄せ、お互いを認め、つながりをはぐくみ、ともに生きあえるような居場所をつくり、広めていきます。
そして、この先の未来に、平和のうちにみんなで心豊かに生きる力をはぐくむ「ともに生きあう社会」があると考えて、活動を展開してゆきます。

・提案1 (果たす任務・使命=ミッション)(実現したい社会=ビジョン)は、「人づくり」 「仲間づくり」「音楽づくり」と一緒に最後に持ってきました。

・提案2 最初に、ともしびは何を追求してきたか入れては? 

・提案3 音楽の感動、現代社会の問題、私たち自身の問題をまとめて入れました。  

・提案4 以下の四つの項目について、理念プロジェクトで討論を深めていただきたいと思います。
今回提案をまとめるにあたって、特に「人づくり」では、『論壇』選集p6-8〈音楽(演奏)と日常生活について〉にある“一人一人の意志”が大きなキーワードだと感じました。誠実や謙虚だけでない力強さがここにあります。
①ともしびは何を追求してきたか
②「人づくり」とは
③「仲間づくり」とは
④「音楽づくり」とは
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<土岐さんの提案に対する対応>
様々な意見や提案、そして文面まで考えてくださり本当にありがとうございました。
土岐さんだけでなく団員のみなさんから寄せられた意見を、プロジェクトチームで1月〜2に3回の会議を持って検討しました。そこで話されたメンバーの意見を次のようにまとめ、対応を考えました。

その話し合いを含め、今までの検討の積み重ねも経て、「理念」がかなり精度が上がってきて、完成に近づいていると感じています。理念は発表されて、団内外の多くの人に読まれてこそ力を発揮していくものです。なので私たちとしては、早く完成させて「ともしびの理念」として公開したいと思っています。

まず『提案1』についてです。
提案の文面ですが、読ませていただいた感じでは、文章的にはかなり変わっていますが、内容的にはほぼ同じと思いました。なので指摘の趣旨は、書き方、内容の展開の順番の問題ということだと理解しました。
「理念」は様々な人に読まれるものなので、なるべく短く読みやすい、趣旨が簡潔でわかりやすい、ということが求められます。そんな文章にすることを心がけて作成したつもりです。
ということでまず理念文章では、ともしびの運動のあり方を【ともしびの文化創造のあり方】と題して大理念【ともに生きあう社会をめざして】とは別にして書き表すことにしました。その方が「大理念」としてともしびのビジョン(目指す未来像)とミッション(使命)をわかりやすく明確に打ち出す文章になると考えたからです。

『提案2〜最初に、ともしびは何を追求してきたか入れては?』という提案ですが、「何を追求してきたか」と言うことそれ自体が理念なのではないでしょうか。
ともしびが追求してきたものは「音楽の感動」も大切な要素ですが、この文章に書いたように、それだけではありません。

次の『提案3〜音楽の感動、現代社会の問題、私たち自身の問題をまとめて入れました。』という提案についてです。
「自己責任」や「ヘイト」も確かに大切な社会課題ですが、理念に盛り込むには視点が違うように思います。「孤立化」という社会問題をあえて取り上げたのは、「ともに生きあう」の対極にあるのが「孤立化」だからです。なので、あえて解決すべき社会問題として「孤立化」を書きました。

『提案4〜以下の四つの項目について、理念プロジェクトで討論を深めていただきたい』について

『①ともしびは何を追求してきたか』
⇒提案2で前述済みです。

『②「人づくり」とは③「仲間づくり」とは④「音楽づくり」とは』
⇒「人づくり」「仲間づくり」「音楽づくり」ついて、理念の文言自体にではなく、図の下に土岐さんが考えてくださったように、補足として文言を書き入れてはどうかという意見も出ました。
いろいろと話し合った結果、「◯◯づくり」とはこういうことです、と表記してしまうと、かえって柔軟性がなく、団員の探求する主体性を奪ってしまうのではないか。ひとり一人が、どういうことなのかを探究することが重要なので、あえて詳細な文言は入れないことにしました。
理念で語るのはともしびの方向性のみでよいと思っていて、残りはそれぞれが自分に引き寄せて「自分はどうありたいか」と考えていく理念にしたいです。

『論壇』選集p6-8にある“一人一人の意志”、誠実や謙虚だけでない力強さについて、p41“人をつくるために「作品」やそれの上演がある”という部分は、【ともしびの文化創造のあり方】に盛り込ませてもらいました。

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★★★様々な意見、提案を踏まえて修正した、現段階での「理念」★★★

※赤字部分は、前回の報告から変わったところです。

【ともに生きあう社会をめざして】
ともしびは平和な世の中を願い、だれもが笑顔を交わしながら、ともに生きあうことのできる社会をめざしています。
「ともに生きあう」とは、人と人との関係性の中から、皆で心豊かに生きる力をはぐくむことです。
しかし近年、人々のつながりが希薄となり、孤立化が進んでいることが大きな社会問題となっています。
ともしびは、音楽や演劇によって生まれる感動を共有することを通して、さまざまな違いを持った「私たち」が心を寄せ、お互いを認め、ともに生きあえるような居場所をつくり、心のつながりを広めていきます。
ともしびは、そんなたくさんの心のつながりが広がっていった先に、平和のうちに皆で生きあえる社会があると考えて活動を展開してきます。

【ともしびの文化創造のあり方】
ともしびは、音楽や演劇の感動を通して「ともに生きあう」人間のあり方を伝えたいと考えています。
その「音楽・演劇」をどのように創りだしていくか、ということは、ともしびの最も大切な運動の柱です。
感動を生みだす演奏や作品のためには、演者自身の中に、誠実さや謙虚さ、人の心に寄り添える優しさ、また明確な意志を持っている強さなどの人間性が求められます。
それは団体としても同じです。仲間を大切にするあたたかい団体であること、目的に対して心をよせあって進められる団体であることは、「音楽・演劇」の質と不可分なものと考えます。
そのような、人や団体のありようは、まさに日常の活動の中で鍛えられ、つくられてゆきます。
ともしびの「音楽・演劇」は、一人ひとりの人間的な成長と、集団で創ることを積み上げているからこそ、感動を生むことができるのです。
ともしびは、「人づくり」「仲間づくり」「音楽・演劇づくり」を、「ともに生きあう」を体現した、互いに関連し合う一つの文化創造と捉えて運動を進めてゆきます。

 

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